INTRODUCTION

映画監督として、脚本家として、小説家として、人間のみっともない部分を愛情を込めて描き続ける足立紳が、20年がかりで念願の企画を実現させた! 主人公は7人の小学生男子たち。生意気ざかりでイタズラが大好きで、気の合う仲間たちと過ごす毎日はワクワクと興奮の連続……と言いたいところだが、人生は子ども相手でも優しくはしてくれない。誰もがコンプレックスや葛藤を抱えながら、なにかをつかみ取ろうとするかけがえのない日々を、真正面から描いた青春映画が誕生した。

瞬は、地方の町に暮らす平凡な小学生。心配のタネは乳がんを患っている母親の病状……ではなく、中学受験のためにムリヤリ学習塾に入れられそうなこと。望んでいるのは親友の隆造ら気の合う仲間たちと、とにかく楽しく遊んでいたいだけなのに。しかしそれぞれの家庭環境や大人の都合、学校でのイジメや不良中学生からの呼び出しなど、抱えきれない問題が山積みだ。ある日、瞬は、イジメを見て見ぬ振りしてまう。卑怯で弱虫な正体がバレて友人たちとの関係はぎくしゃくし、母親の乳がんも再発、まるで罰が当たったかのような苦しい日々が始まる。大切な仲間と己の誇りを獲得するために、瞬は初めて死に物狂いになるのだった。

足立監督の十八番であり、分身ともいえる“情けない主人公”を演じるのは、関西ジャニーズJr.内のグループ「Boys be」のメンバーとしても活躍する池川侑希弥。さらに日本版『CUBE』(21)に出演した田代輝ら、オーディションで選ばれた子役たちがフレッシュかつ自然体なアンサンブル演技で観る者の顔をほころばせる。また、瞬の明るい教育ママに臼田あさ美、家のことは母親任せなパパに浜野謙太、親友・隆造の前科持ちの父親に永瀬正敏ら、個性豊かな実力派が大人パートを支えてみせる。足立監督の前作『喜劇 愛妻物語』に出演していた子役・新津ちせも、瞬の妹役で存在感を発揮する。

足立監督は、若き日に今は亡き名監督・相米慎二に師事していたことでも知られているが、本作では相米監督のトレードマークでもあった長回しをふんだんに活用して、子どもたちのイキイキとした姿を捉えてみせた。足立監督は20年以上前に、本作のもとになった脚本を相米監督に読んでもらい、一度だけ褒められたことが映画人としてやっていく原動力となったと語っており、師匠へのリスペクトと自らの原点を見つめ直す作品になっている。

本作のために主題歌「少年」を書き下ろしたのはZ世代の注目バンド、インナージャーニー。みずみずしいメロディーと歌詞が、青春映画の王道をいく爽やかなエンディングの余韻をいっそう強しくしてくれる。今の時代に伝えたい、高純度な笑いと涙と希望が詰まった名作が誕生した。

STORY

「俺はお前らと本当の仲間になりたい、信じてもらえる奴になりたい」
地方の町に暮らす平凡な小学生・瞬(池川侑希弥)。心配のタネは乳がんを患っている母の病状……ではなく、中学受験のためにムリヤリ学習塾に入れられそうなこと。望んでいるのは、仲間たちととにかく楽しく遊んでいたいだけなのに。瞬の親友たちは、犯罪歴のある父(永瀬正敏)を持つ隆造(田代輝)や、いじめを受けながらも映画監督になる夢を持つ西野(岩田奏)など、様々なバックボーンを抱えて苦悩しつつも懸命に明日を夢見る少年たち。それぞれの家庭環境や大人の都合、学校でのいじめや不良中学生からの呼び出しなど、抱えきれない問題が山積みだ。ある日、瞬は、いじめを見て見ぬ振りしてまう。卑怯で弱虫な正体がバレて友人たちとの関係はぎくしゃくし、母親の乳がんも再発、まるで罰が当たったかのような苦しい日々が始まる。大切な仲間と己の誇りを獲得するために、瞬は初めて死に物狂いになるのだった。

CAST

高崎瞬
ホントは弱虫な主人公
 
池川侑希弥
PROFILE »
COMMENT »
村瀬隆造
瞬の頼れる親友、父親はヤクザ
 
田代輝
PROFILE »
戸梶元太(トカゲ)
宗教二世のいじめられっ子
 
白石葵一
PROFILE »
星正太郎
目指せ東大一直線、ヤンキー姉と母の3人暮らし
松藤史恩
PROFILE »
西野聡
夢は映画監督
岩田奏
PROFILE »
玉島明
ツッパリ中学生の舎弟
蒼井旬
PROFILE »
小林幸介
武闘派きどりの転校生
坂元愛登
PROFILE »
高崎ワコ
瞬の妹、フカヒレが食べたい
 
新津ちせ
PROFILE »
高崎佳子
瞬の母親。
明るく口うるさい教育ママ
臼田あさ美
PROFILE »
高崎作朗
家ではのんべんだらりとした
瞬の父親
浜野謙太
PROFILE »
村瀬美奈
隆造を捨てて家を出ていった
訳ありな母親
河井青葉
PROFILE »
村瀬真樹夫
隆造の父親、顔にヤケド跡が
ある強面ヤクザ
永瀬正敏
PROFILE »

STAFF

原作・脚本・監督
足立紳
 
PROFILE »
COMMENT »
主題歌
インナージャーニー「少年」
PROFILE »
COMMENT »
池川侑希弥(いけがわゆきや)
高崎瞬<ホントは弱虫な主人公>
親友である隆造のグループのナンバー2的なポジションだが、実は小心な臆病者。弱虫な自分を変えたいと願いながらも大事な一歩が踏み出せない。勉強は大嫌い。
PROFILE
2019年12月にジャニーズ事務所へ入所。2020年1月に京セラドーム大阪にて開催された関西ジャニーズJr.コンサート「関ジュ 夢の関西アイランド2020 in 京セラドーム大阪 ~遊びにおいでや! 満足100%~」でステージ初登場を飾る。2020年11月に関西ジャニーズJr.内に結成された新ユニット“Boys be”のメンバーに選ばれる。2022年5月に行われたコンサート「JOHNNYS’ Experience」ではユニットとしては初単独出演を果たした。現在は「サタデープラス」(MBS/TBS系)のお天気コーナーや「まいど!ジャーニィ~」(BSフジ)などのテレビ番組に出演中。2021年4月期放送の関西ジャニーズJr.出演「ジモトに帰れないワケあり男子の14の事情」(ABC/EX系)にドラマ初出演。関西ジャニーズJr.としてコンサートやバラエティ番組での活動が多い中、今作が初めての映画出演、さらに初主演となる。
池川侑希弥コメント
高崎瞬を演じました池川侑希弥です。 「オーディションで選ばれました」と聞いた時は嬉しかったんですが、初めての映画で主人公の瞬役に決まったと知ったあと、プレッシャーが押し寄せて来たのを覚えています。約1ヶ月間飛騨市での撮影で共演者の皆さんやスタッフさんと共に過ごす中で徐々に不安もなくなって楽しく撮影することが出来ました。
この映画は、友達に弱い部分を見せられず強がっている主人公の瞬が友達と色々な経験をして成長していくお話です。どこか自分にもそういう所があるなと思いながら撮影していましたが、主人公の瞬を演じる事で自分自身も成長出来たと思っています。
1歩を踏み出す勇気をくれるお話ですので、瞬が自分の殻を破る瞬間をぜひスクリーンで見届けてください!
田代輝(たしろひかる)
村瀬隆造<瞬の頼れる親友、父親はヤクザ>
ケンカに強くて人情に厚い、みんなをまとめるリーダー格。前科持ちでヤクザの父親がおり、町の大人からは偏見の目で見られることも。母親とは別居中。
PROFILE
2007年生まれ。NHK Eテレで放送された「で〜きた」(2016)では主人公を演じ、その後も話題作に多数出演。近年では映画『CUBE 一度入ったら、最後』(2021)やTXドラマ「シジュウカラ」(2022)に出演し、重要な役柄を演じた注目株。
白石葵一(しらいしきいち)
戸梶元太(トカゲ)<宗教二世のいじめられっ子>
親が新興宗教にハマっていることや、吃音のせいでいじめられることが多い。気弱な性格だが、隆造に影響されて思わぬところで勇気を奮い起こす。
PROFILE
2010年生まれ。NHK連続テレビ小説「なつぞら」(2019)、「エール」(2020)、『男はつらいよ』の前日談ドラマ「少年寅次郎」(2019)など、多くのドラマに出演。舞台やCMの仕事も多い。『雑魚どもよ、大志を抱け!』が映画初出演。
松藤史恩(まつふじしおん)
星正太郎<目指せ東大一直線>
メガネをかけた隆造グループの仲間。母子家庭でヤンキーの姉と3人暮らし。今の環境から抜け出すためには学問で成功するしかないと東大進学を目指す。
PROFILE
2008年生まれ。テレビドラマ、CM、広告などで活躍。WEBドラマ「おやじキャンプ飯」(2020)では近藤芳正と共演。白石和彌監督の『死刑に至る病』(2022)では、岩田剛典演じる謎めいた男の少年時代を演じた。
岩田奏(いわたかなで)
西野聡<夢は映画監督>
瞬の同級生で、同じ学習塾に通っている。大の映画好きで、自宅のVHSコレクションは2000本。スピルバーグに憧れて映画監督を目指している。
PROFILE
2008年生まれ。東京都出身。演技はほとんど未経験のまま『雑魚どもよ、大志を抱け!』で映画フリークの西野役に抜擢された。
蒼井旬(あおいしゅん)
玉島明<ツッパリ中学生の舎弟>
隆造を一方的にライバル視しているいじめっ子。地元の子供たちに怖れられるヤンキー“政ちゃん”の威を借る舎弟で、カツアゲした金を上納している。
PROFILE
2007年生まれ。神奈川県出身。白石和彌監督の『孤狼の血LEVEL2』(2021)で鈴木亮平演じるヤクザの少年時代を演じたほか、三木聡の『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』(2018)や李相日監督の『流浪の月』(2022)に出演。岡本充史監督の短編『15歳』(2021)では主演を務めた。
坂元愛登(さかもとまなと)
小林幸介<武闘派きどりの転校生>
トレードマークはサングラスで、エアガンを持ち歩いている。悪ぶってタバコをふかし、武闘派な発言が多いが、実は日和見主義者。灰皿のことを“ザラハイ”と呼ぶ。
PROFILE
2009年生まれ。東京都出身。石川慶監督の『ある男』(2022)にて悠人役に抜擢されて映画デビュー。今後の活躍が各方面から期待されている。
新津ちせ
高崎ワコ<瞬の妹、フカヒレが食べたい>
PROFILE
2010年生まれ。東京都出身。2014年にミュージカル『ミス・サイゴン』でデビュー後、映画・ドラマ・舞台・CMなど多方面で活躍。映画『駅までの道をおしえて』(2019)で映画初主演を務め、主演2作目となる映画『凪の島』が2022年に公開。また、音楽ユニット「Foorin」のメンバーとして、NHK紅白歌合戦に2年連続で出場。主な出演作に、映画『3月のライオン』(2017)、NHK連続テレビ小説「エール」(2020)、「カムカムエヴリバディ」(2021〜22)など。足立紳監督の『喜劇 愛妻物語』(2020)では足立監督をモデルにした主人公夫婦の娘アキ役を演じた。
臼田あさ美
高崎佳子<瞬の母親。明るく口うるさい教育ママ>
PROFILE
1984年生まれ。千葉県出身。映画では『色即ぜねれいしょん』(09)『南瓜とマヨネーズ』(17)『美人が婚活してみたら』(19)『私をくいとめて』(20)『ウェディング・ハイ』(22)などの話題作に出演。『愚行録』では、第39回ヨコハマ映画祭助演女優賞を受賞。ドラマでは、大河ドラマ『龍馬伝』『家売るオンナ』『架空OL日記』『アンサングシンデレラ』『イチケイのカラス』『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』また主演作として『ちょい釣りダンディ』『目の毒すぎる職場のふたり』など数多く出演。
浜野謙太
高崎作朗<家ではのんべんだらりとした瞬の父親>
PROFILE
1981年生まれ。神奈川県出身。バンド「在日ファンク」のボーカル兼リーダーで、2015年に解散した「SAKEROCK」の元トロンボーン担当。2011年の映画『婚前特急』で第33回ヨコハマ映画祭・最優秀新人賞を受賞。以降、俳優業も本格化し、数多くの映画やドラマに出演している。ディズニーアニメの『ソウルフル・ワールド』(2020)吹替版では主人公のジャズマンの声を担当している。
河井青葉
村瀬美奈<隆造を捨てて家を出ていった訳ありな母親>
PROFILE
1981年生まれ。東京都出身。10代から雑誌モデルを始め、20代で映画に活動の幅を拡げる。近年の出演作に『続 深夜食堂』(2016)、『二重生活』(2016)、『あゝ、荒野 前後編』(2017)、『愛しのアイリーン』(2019)など。2015年に『お盆の弟』、『さよなら歌舞伎町』で第37回ヨコハマ映画祭助演女優賞を受賞。『ドライブ・マイ・カー』(2021)の濱口竜介監督とは、キャリアの初期から何度もコラボしており、濱口監督の『偶然と想像』(2021)で第35回高崎映画祭の最優秀主演俳優賞を受賞した。
永瀬正敏
村瀬真樹夫<隆造の父親、顔にヤケド跡がある強面ヤクザ>
PROFILE
1966年生まれ。宮崎県出身。高校生の時、約15000人のオーディションを勝ち抜いて相米慎二 監督の『ションベン・ライダー』(1983)でデビューし、主人公のひとりジョジョを演じる。1990年にはジム・ジャームッシュ監督『ミステリー・トレイン』に出演し注目を集めた。山田洋次監督作『息子』(1991)では数々の演技賞に輝き、メジャーからインディーズまで作品の規模を選ばず活動。『コールド・フィーバー』(1995)、『FLIRT/フラート』(1996)、『KANO 1931海の向こうの甲子園』(2015)など海外作品も多い。写真家としても活躍している。
原作・脚本・監督:足立紳
1972年鳥取県生まれ。相米慎二監督に師事。脚本を手掛けた『百円の恋』が2014年映画化。他脚本作品として『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(17)、『こどもしょくどう』(19)、『嘘八百シリーズ』、『アンダードッグ 前編・後編』(20)などで、ドラマ「拾われた男」がBSプレミアムとディズニープラスで現在配信中。2023年10月からのNHK連続テレビ小説「ブギウギ」の脚本も控える。また監督作は『14の夜』(16)、『喜劇 愛妻物語』(20)など。
足立紳 コメント
この作品のシナリオを初めて書いたのはもう20年以上も前だ。なんとか映像化したいと思い、いろいろと動き回ったが実現には至らなかった。ぼんやりしている間にものすごいスピードで時代が変わり、いろいろなものの価値観も大きく変化した。価値観をアップデートできない人間はそれだけでもうダメだという空気も感じる。
人間は不完全だからこそ魅力的だと思い、そういう人間ばかり描いてきたつもりだが、それが通用しなくなってきていることもひしひしと感じる。不完全な人間を安易に魅力的だと言ってはいけない時代なのだと思う。それでも手元にあった、そういう人間ばかり出てくるこのシナリオを映像化したいとまだ思っていた。エゴでもあろうが、でもこのシナリオの中には、やっぱり人の大切な部分が描かれていると思えた。僕がとうの昔になくしてしまったプライドというものを、シナリオの中の子供たちは、必死に獲得しようともがいていた。そういう子供たちの姿を、今の世の中に問うてみたいと思った。そして、そんな登場人物たちに真摯に向き合って演じてくれた池川君、田代君、白石君、松藤君、岩田君、蒼井君、坂元君たち小学5年生から中学2年生の彼らの姿がとても眩しくて、撮影中、何度も目がくらんだ。  
主題歌 :インナージャーニー「少年」
インナージャーニーは、2019年に開催された10代限定フェス【未確認フェスティバル】の出場をきっかけに結成。これまで開催したワンマンライブ、主催イベントは軒並みソールドアウトを記録。9月7日にリリースした1stアルバムが現在ヒット中と、若者を中心に幅広い世代から支持を集める4ピースロックバンドです。10月1日に渋谷のduo MUSIC EXCHANGEにてワンマンライブ「インナージャーニーといっしょ vol.3-内旅編-」を開催、「少年」を初披露しました。
本主題歌「少年」は、疾走感溢れるメロディーに乗せて思春期の少年たちを勇気づける、力強い楽曲となっております!!ボーカルをつとめるカモシタサラは本作の撮影現場も訪れ、監督やキャストたちとも交流。物語のキーとなるトンネルでの緊迫したシーンを目の当たりにし、楽曲の構想を膨らませました。「少年」は2023年3月にデジタルシングルとして配信リリースを予定しています。
ナージャーニー カモシタサラ コメント
この度『雑魚どもよ、大志を抱け!』の主題歌を担当させていただくことになりました。
お話をいただいたときから、嬉しさとプレッシャーが混ざり合い、ずっとワクワクしています。
映画で描かれている時代は私が生まれるよりも前の話ですが、なぜだか懐かしくなったり、きっと誰もが一度は持ち合わせたことのある苦いような酸っぱいような感情が入り混じっていて、何度も心がぎゅっとなりました。
自分もこういうことあったなあなんて思い出したり。実際に撮影地まで行かせてもらって、それぞれいろいろなものを抱えた子どもたちの心の揺れ動きや、ハッとさせられる演技に引き込まれながら、空気や匂いから感じたことを全部歌に詰め込みました。
映画の中の瞬くんたちと、私たちを繋ぐ架け橋のような歌になればいいなと思っています。とても良いシーンで曲が流れるので緊張していますが、最後まで聴いていただけたら嬉しいです。